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アルツハイマー病診断用プローブの開発

     

「イメージング事業部門」では、専らアルツハイマー病診断用プローブの開発を行っています。
その戦略はアルツハイマー病特異的に脳内に出現するAβとタウと呼ばれる悪玉タンパクに結合するプローブ(化合物)を開発し、プローブ脳内集積量(=悪玉タンパク蓄積量)から同病を診断しようとするものであります。

80歳でアルツハイマー病に陥るとしましょう。Aβは30年前から、タウは10年以上前から脳内に蓄積が始まると考えられています(図)1)。
図1に示すようにこれら2つの悪玉タンパクのうちAβに結合するプローブは発症前を含むアルツハイマー病の超早期診断を、またタウに結合するそれは同病の重症度診断を可能にすると考えられています。
イメージング研究部門は12年以上に渡るプローブ開発研究、約4000化合物のスクリーニングから、すでにAβをイメージングするPET(陽電子断層撮影装置)用プローブを開発しヒト探索的臨床研究を実施しています(図2)。
図2のプローブは[11C]標識PETプローブでしたが、イメージング研究部門は半減期が長くて臨床現場で使用しやすい[18F]標識プローブをも開発し、現在ヒト探索的臨床研究を実施しています。
現在進行中の研究は悪玉タンパク タウに結合するPET用プローブ、さらにAβ and /or タウ タンパクに結合する光イメージング用プローブを開発中です。前者はアルツハイマー病の重症度診断を、後者はより簡便・安全という特徴を生かし、アルツハイマー病の集団検診を可能にすると予測されています。 図3は遺伝子改変して脳内にAβが蓄積するマウスに光イメージング用プローブを投与した際の脳画像です。
日本における65歳以上人口は間もなく3000万人、先進国のそれは約2億人と推測されています。やがてこれら人口のほとんどがアルツハイマー病の超早期ないしは発症前診断を受ける日が到来するものと、また診断を介してアルツハイマー病駆逐に我々の研究が貢献するものと信じて研究を続けております。

 

図1. アルツハイマー病の臨床症状発現と悪玉タンパクの発現
井原康夫、荒井啓行:アルツハイマー病にならない、 朝日新聞社、東京、2007より引用(一部改変)

 

図2. 悪玉タンパクAβに結合するPET用プローブ[11C]BF-227 を用いたアルツハイマー病診断
図3. 遺伝子改変して脳内にAβが蓄積するマウスに光イメージング用プローブを投与した際の脳画像
左: 遺伝子を改変しない(野生型)マウスに光イメージング用プローブを投与
右: 遺伝子改変マウスに光イメージング用プローブを投与